半地下備忘録

たつさんの日記的ななにか。

『読書の価値』

読書の価値 (NHK出版新書)

読書の価値 (NHK出版新書)

森博嗣にとっての読書について書かれた一冊です。中身を読む前に目次を見るだけでも本書の主張はある程度想像できるのではないでしょうか。また、まえがきにも書かれているように、本書では森博嗣がなにか特定のタイトルを薦めるといったものでもありません。

じゃあ一体何が書いてあるのかというと、森博嗣の過去の読書経験や、読書の効果・価値について書かれています。自分と似たような考えだなーというところもあれば、自分は読書についてどう捉えているのか考えるきっかけにもなるところもありました。次に項目のあたりは同意するひとも多いはず。

■「人類の知識」にふれる体験
「人類の知識」が得られるのだ。学校でも教えてくれない。大人も先生も知らない。それでも、世の中の誰かは知っていて、それを本に書いているのだ、と思い知ったのである。人間というのは、そういう仕組みを作ったのだ。なんとすばらしいことだろう。本当に人間って凄いじゃないか、と感動した。

先人たちの知識を拝借するには基本的に本を読むのが一番手っ取り早いですね。

■専門書を読むためのセンス
あらかじめ全部知っておかなければならないという意味ではない。わからないものに出会ったときに調べれば良い。でも、どこを調べたら良いのか、どこらへんにそれが記されているのか、といった見当をつけるセンスは、やはり一連の教育を受けていて養われるものだと思える。

何かを調べるために事前知識を得ておく必要性はとても強く感じるようになりました。ネット上にゴミみたいな情報が大量生産された結果、ググるためには知識が必要という状況です。

■本選びのたった一つの原則
あなたが自分で本を選ぶ、というのが最も基本的なやり方だ、と僕は思う。
 そんな当たり前のこと、と感じるかもしれないけど、否、その当たり前が、なかなか実現できないのではないだろうか。
(中略)
 本の選び方として、僕が指摘したいのはその一点だけ。とにかく、本は自分で選べ。それだけだ。
 リアル書店でも良いし、ネット書店でも良い。とにかく面白そうな本がないかな、と選ぶ時間が大切だということもある。人から聞いたから読むとか、誰かがすすめていたから読むとかではなく、自分の判断で選ぶこと。これがもの凄く重要なのだ。もう、本書のテーマはこの一点だと思っていただいても構わない。

ざーっとタイトルを眺めたときに何が面白そうだと感じるかはその時々だったり、想像していなかったジャンルだったりするので、自分で選ぶのが大事。わかるわかるー。


同意するところもある一方で著者は少し(かなり?)特殊なタイプで、娯楽として本を読むことはあまりなく、楽しんだり勇気づけられるといったところに読書の価値を考えている人にとっては同意できない部分も多いと思います。

ちなみに本書を読んで、自分なりに読書について考えてみると、さっきあげた内容に加えて小説であれば没入感が得られることに価値を感じているんだなと気付いたので、こういうことを考えるきっかけになっただけで価値がある1冊だったなーと。