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半地下備忘録

たつさんの日記的ななにか。

データから本当の関係を正しく解釈するために『「原因と結果」の経済学』

読書

「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法

「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法

図書館の特集コーナーで平積みされていた表紙が気になり手にとってみた。表紙をめくり、「はじめに」の冒頭で、こんな問を投げかけられた。

・メタボ健診を受けていれば長生きできるのか
・テレビを見せると子どもの学力は下がるのか
・偏差値の高い大学へ行けば収入は上がるのか


「イエス」と答えた人は多いはずだ。
しかし、経済学の有力な研究は、これらをすべて否定している。


多くの人がこれらの聞いにイエスと答えてしまうのは「因果関係」と「相関関係」を混同しているからである。疑いもなく肯定した人は、ぜひ本書を読んでほしい。きっと目からうろこが落ちるような大きな発見があるはずだ。

「イエス」とは答えなかったけど、面白そうかなと思って借りてみた。書店や図書館などの実店舗の良いところは自分の全然興味のなかった分野の本も、自然と目に入ってこうやって手にとる機会ができることだろう。指名買いするときは探す手間がかかるけど。

「経済学」とタイトルにあるけど、経済の知識のない自分にとっても読みやすく、例も冒頭のものと同様にイメージしやすいものが多い。特に第1章の、因果関係と相関関係について覚えるだけでも読む意味があると思う。因果関係と相関関係はそれぞれこんな感じ。

因果関係:2つのことがらが原因と結果になっている
相関関係:2つのことがらのあいだに関係があるように見える

「因果関係」と「相関関係」の違いを覚えておくと、思い込みや根拠のない通説に惑わされることなく、情報を正しく解釈できるようになる(はず)。
この本では因果関係を確認する3つのチェックポイントが挙げられている。

1.「まったくの偶然」ではないか

2つの関係をグラフにすると何か関連があると思うことも少なくないが、その関係がまったくの偶然かもしれないと疑ってみる。

偶然だが関係あるように見える例として、「気温と海賊の数」「ニコラス・ケイジの年間映画出演本数とプールのでき死者数」などが挙げられている。さすがにこれらは極端に分かりやすい例だけど、偶然それっぽく見えることも多いので気をつけましょうとのこと。

2.「第3の変数」は存在していないか

次のポイントは原因と結果の両方に影響を与える「第3の変数」は存在していないか。

例えば、小学生の体力と学力の関係をグラフにすると下図のようになり、確かに体力がある子は勉強ができるように見える。
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(出典:「相関関係」と「因果関係」の違いを理解すれば根拠のない通説にだまされなくなる!|「原因と結果」の経済学|ダイヤモンド・オンライン

でも本当は第3の変数として「親の教育熱心さ」が存在している結果だったりするので、グラフだけでなく隠れている要素もしっかり検討する必要がある。

3.「逆の因果関係」は存在していないか

因果関係を考えたときに、原因だと思っていたものが結果で、結果だと思っていたものが原因である状態を「逆の因果関係」という。その辺も疑って見る必要がある。

因果関係の証明

因果関係と相関関係を区別できなくても…と思う人も多いだろうけど、例えば「広告を出したら売上が上がったが、果たして本当に広告と売上に因果関係あるのか」といったことを考えるときに因果関係かどうかが重要になる。その考え方や手法については2章以降で順に説明されてるので、興味がある人は本を読んで確認するのがよろしいかと。

手法によって、条件を作り出すのが非常に難しいけど強いエビデンスになるもの、エビデンスとしては弱いけど検証しやすいものなど色々。完璧に証明しなければ意味がないかというとそんなこともないので、因果関係があるかもと思ったときには3つのポイントを思い出して疑うようになるだけでも、十分期待する効果や結果を得られる確率を高められるんじゃないかね。